古き良き日本の風景が残る忍野村。ここでしか味わえない文化遺産の宝庫
水、空気、緑、風、実。
富士山の恵みをいっぱいにうけて栄えてきた忍野村。厳しい冬も乗り越えて、遠く縄文の頃から、人々はここに暮しを求めてきた。現在、村の人口はおよそ9,200人。いい大工が多いと評判の忍野には、伝統的な日本家屋が建ち並び、ところどころには茅葺屋根も残っている。そんな村を横切るように小川が流れ、富士の湧水が湧きだし、恐ろしいほど透き通った湧水池が点在する。その湧水は富士登山を目指す前の禊(みそぎ)に使われ、江戸時代に花開いた富士信仰の富士講(ふじこう)行者らによる信仰のばとしても、多くの人々に巡拝されてきた。それに加え、古事記に登場する神々が祀られる神社や様々な伝説が村のあちこちで語り継がれている神秘。忍草浅間神社には県内最古の御神像が眠り、境内には巨木が佇む。例祭には江戸時代から残る御神輿が村を練り歩き、五穀豊作と悪魔祓いを祈願して、祭囃子に獅子が舞う。自然と人間の間に、目に見えるものと目には見えなくともたしかにある何かが、ここにはしっかりと息づいている。
平成25年6月22日、富士山は世界文化遺産として正式に登録が決定いたしました。神聖で荘厳な姿の富士山は、独特の性質を持つ富士山信仰を育み、また海外の芸術家にも影響を与えた浮世絵など、多くの芸術作品に取り上げられてきました。富士山の世界文化遺産としての価値は、富士山が類まれな「景観」をもとに「信仰」と「芸術」の対象になってきた点だと考えられております。